日本の歌舞伎が代表的であるが、政治的・社会的な理由から、遊蕩の演芸の芸人に女性は介入してはならないという原則が立てられると、女性役は誰が演じるのかという問題が起こる。ここから日本では、女形(おやま)という女性役を専門に演じる俳優が生まれる。女形は当然ながら女装して舞台に立つのであるが、単に服装や装身具の問題だけではなく、言葉遣い・挙措において、「女性らしさ」が求められることになる。
イギリスの劇作家であり近代英語の確立者であるウィリアム・シェイクスピアの作品に登場する女性役は、女装した美少年が演じたともされる。シェイクスピアの劇作品のなかには、女性が男装して、そのことから生じる人間違いを主題とした喜劇があり、異性装の持つ意味をシェイクスピアは洞察していたとも言える(ローレンス・オリヴィエ卿は言うまでもなく、男性でシェイクスピア劇の俳優であるが、彼の最初の出演では、女装して女性役を務めたことが知られる)。
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世界的に見るとき、アブラハムの宗教の影響下にある社会は、女装を公的には否定する傾向がある。しかし、同性愛や少年愛がそうであるように、公的に否定されているが、文化的には他の社会同様に、このような慣習や行動が存在したということはある。
20世紀より21世紀にかけては、ドラァグ・クイーンがもっとも目立つが、女装者は多数の人口に昇った。イスラム社会はなお否定的であるが、欧米とそれに関連するキリスト教社会では、「性の多様性」の運動の進展と共にカミングアウトも増大し、女装に対する抵抗もなお存在するが、女装者の可視性は高まっている。